1ヶ月程度の期間、同期50人程の研修がはじまった。

その新人研修で出会ったのが、妻の若葉(仮名)だ。

研修の初日、若葉が立ちあがって自己紹介をした時、俺だけでなく、他の同期もぼうっと見惚れているようだった。

気品のある顔立ちとスリムな体型の若葉は真新しいスーツが https://hitoduma-taiken.jp/ とても良く似合っていた。

間違いなく同期でNO1の美女だった。

すぐに争奪戦が始まり、積極的な男達が、何かと話し掛けたりしているのが目に付いたが、引っ込み思案の俺は、ただ指を咥えて見ているだけだった。

物凄い競争率だったが、同じ部署に配属されたことや、帰りの路線が同じだったこともあって俺と若葉は、自然に親しくなった。

若葉の性格が、引っ込み思案で大人しいタイプだったことも大きく作用していると思う。

そして、知り合って2年後、なんとか交際まで漕ぎ着け、それから1年程経ったとき、プロポーズして結婚した。

それから数年は、仕事も私生活も順風満帆で、調子に乗った俺と妻は独立して事業を始めた。

前職の会社からお願いされて問題顧客(というか面倒な顧客)を引き受けるなどして円満に独立したため、

前職からも仕事を貰えて、事業は非常にうまくいき、従業員を15人も雇う程に成長した。

しかし、ご存知の様にリーマンショックから続く不況は、俺達の事業にも多大な影響を及ぼしあっという間に火の車になった。

そして、昨年、とうとう前職からの受注も打ち切られることになってしまった。

一昨年くらいから前職からの受注が売り上げのほとんどを占めるようになっていたため、切られてしまったら、もうお終いだった。

俺は、仕方なく、かつての同期にお願いしてみることにした。

前職に残っている同期の中には、新興会社ということもあって、若くして既に偉くなっている者もいた。

それが藤田だった。

チャラチャラしていた藤田と俺は、まったく親しくなかったが、背に腹は変えられず、頭を下げてお願いした。

この会社は、ブラック企業想像できることではあったが、実際に我が身に起きてみると、普通に驚いた。

藤田は、条件を出してきたのだ。

そう、妻の若葉を差し出せと。

「冗談じゃない!ふざけるな」と返答すると。

藤田は落ち着いた様子で

「お前が、特別、何かをするわけじゃないぞ。もちろん、奥さんに、俺に抱かれるよう言い含める必要もない。

お前は何もしなくていい、ただ、家計の足しに奥さんをうちでバイトさせるだけでいいよ。」と言い出した。

どんなバイトだよ?、と尋ねると。

「別に変なバイトじゃない。実際そんなの無理だろ。他のスタッフがやってるのと同じ、事務や雑用だ。

ただし、俺は上司として、若葉さんを口説く。」

俺が黙っていると

「だから、差し出すって言っても、結局は、奥さん次第だ。

無理な事はしない。それは約束する後は、奥さんをうちで時給950円の普通のバイトをさせるだけで、

今までどおり発注してやるって言ってるんだよ奥さんが社内にいるだけで、がんばる奴もいるからな、会社としてもそれだけの価値がある。」

妻はちょうどパートを始めようかと言っていたし、男に口説かれる率もどこで働いても大差はないはず。

今年30歳を迎えてもまだ、美貌は衰えず美人妻で、どこで働いても、口説かれることは間違いないはずだ。

俺はそう考えて、この申し出を受けてしまった。